高山にやってください

米澤穂信についてつらつらと

米澤穂信作品の繋がり

はじめに。

この記事では、いくつかの米澤穂信作品に登場する単語を扱います。

物語の本筋に関する内容に関するネタバレはしませんが、未読の作品の情報は一切見たくないという方はご注意ください。




さて、本題です。

米澤穂信作品にはずいぶん前からあるものが仕掛けられていました。

まずはさっそくいくつか引用を。


〈追想五断章〉文庫版P179
ものの一時間ほどで、弦巻彰男という名前と、彼が記事を書いた雑誌『深層』の号数を得る。

ふたりの距離の概算〉文庫版P157
「あ、『深層』があるね」
 週刊誌を指す。『深層』は俺でも知っているが、伝統あるジャーナリズムの一角という感じがしないくせに、ヌード写真やスキャンダルで受けを狙ったりもしない中途半端な雑誌というイメージがある。

〈王とサーカス〉単行本P94
 月刊深層は総合ニュース誌だ。国内ニュースがメインではあるけれど、扱う幅はスポーツから政治まで幅広く、国際ニュースもよく載せている。


【深層】



次。


古典部短編〈連峰は晴れているか〉 野性時代56号P74
ふと目を上げると、神垣内連峰の山並みがいつも通りに聳えている。

〈儚い羊たちの祝宴〉文庫版P124
 雄大な神垣内連峰にいだかれ、清らかな水に恵まれた別荘地、八垣内。


【神垣内連峰】



はい。そうです。
実はもう何年も前から、米澤穂信は共通する固有名詞を複数の作品で登場させていたのです。
いわゆるスターシステムというやつですかね。
これで〈古典部〉シリーズ、さよなら妖精・〈ベルーフ〉シリーズ、追想五断章、儚い羊たちの祝宴が同じ世界観の上に成り立っているかもしれないと考えることができるのです!
ファンとしてはこんなに楽しいこともないですね。





ちなみに、これ以外にも〈ボトルネック〉に川守という少年が登場しますが、単行本未収録の短編〈Do you love me?〉にも彼と同じ名前が登場したりします。
こちらも今後何かしらの関わりが出て来るのか、非常に気になるところですね。

まだまだ他にもあるかもしれないので、見つけた方はぜひ教えていただけると嬉しいです。